津和野名物といえば、もう皆様ご存知の源氏巻です。餡をどら焼きのような生地で包んだ、餡巻きの焼き菓子なのですが、このお菓子名物になるだけあって歴史も長く、その由来は元禄の時代までさかのぼります。
ときの津和野三本松城主亀井能登守慈親公は公家吉良上野介義央に辱めを受け、余りの口惜しさに上野介を斬ろうと覚悟します。
この事を知った家老の多胡外記は大事に至らぬようにと、機転を利かせて上野介に取り入り、事なきを得たといわれています。この時、家老の多胡が上野介に取り入るために使った進物、「小判包みの形のお菓子」が源氏巻の原型になったと言うことです。以来このお菓子は津和野で長く皆様に親しまれています。
名物だけあって、この津和野には源氏巻を作っているお店が当店も含め、十件近くもあるんです。各店舗それぞれ味に特徴があり、中の餡もお店によって違います。当店では昔ながらのこし餡のみですが粒餡、抹茶餡、ゆず餡などで作られるところもあります。それぞれ個性があるんですね。
実はこの源氏巻、十月半ばから十一月にかけての、この季節のものが一番美味しいと言うのをご存知でしょうか。
その理由は餡の元になる小豆。当店の源氏巻は北海道産の小豆を使って作るのですが、その小豆の収穫の時期が実はこの季節なのです。
餡は一年中見かけるものなので季節といわれても余り馴染みがないかもしれませんがやはり新豆を使って作る餡は一味違います。
その北海道産の小豆で作った餡を包む皮は、九州・福岡産の「筑後・山笠」を使って作ります。国内産の小麦粉はポストハーベストの除虫剤など使用していないため安心してお召し上がりいただくことができます。
この季節、美味しい源氏巻を味わってみてはいかがでしょうか。