お盆も過ぎて

さて、盆休みも終わりました。皆様、どうお過ごしになられたでしょうか?当店は観光地・津和野にありますので、盆正月が一番忙しい季節なんです。沢山の方が観光に来られ、そのついでに当店にも寄ってくれます。

しかし、昔から比べると、観光客の数は減っているようですね。昔は盆正月ともなると、この片田舎の小さな町に続く道が何キロも渋滞を起こしていたくらい、観光で来られる方の数は多かったのですが、最近はそうでもありません。

これに関して色々原因はあるでしょうが、一番の原因は「日本人の変化」が挙げられるのではないか、と自分は思います。

津和野が観光でもっとも有名だった頃は、日本の経済が成長していた時期とほぼ重なります。戦後を抜け出して生活に余裕が出てきた頃でもあり、日本人がレジャーを求めていた時でもあったのではないでしょうか。

ちょうどそれくらいに、津和野が女性向けの雑誌で盛んに取り上げられるようになります。今とは違い、この時代は雑誌が最も影響力を持っていた時代でもあり、この町の知名度は一気に上がりました。

津和野という素材が良かったというのはもちろんのことですが、簡単に言えばこのような条件が重なり、津和野が観光地として脚光を浴び、大量の観光客がここに流れ込んでくるという現象が起こったのでは、と推測します。

その頃から、数十年の月日が流れ、日本の多くの人たちは津和野や他の観光地から、さらには海外へまで気軽に行けるようになり、多くの旅行を経験し自分が本当にいいと思える場所を見つけるようになりました。それだけ色々なことを観て、聴いて、経験したことにより、自分達の好みを知るようになってきたのだと思います。

そういうことを踏まえて考えると、現在の津和野の観光客減少は、全て説明することが出来ます。とにかく旅行したい、という人たちは費用が高くつく国内旅行をあえて選ぶこともないでしょう。それ以外、自分達の趣向で旅先を選ぶ人たちは、それこそ津和野が自分の趣味ではない限り、津和野を選ぶこともありません。人の好みは千差万別ですからね。今は来たいと思う人のみが来る場所なのだと思います。

津和野の観光に携わる多くの人は、観光客が来なくなったと心配ばかりしていますが、こう考えてみると昔が異常で今が正常に戻ったということが出来るではないでしょうか。

今までの街づくりは、そういった異常事態にあわせた街づくりでした。とにかく大量の観光客を受け入れることを中心に町を変化させてきました。しかし、時代は変わりました。時代と共に、日本人の質も変化しました。個人の好みがはっきり分かるようになりました。

昔津和野に来られて、「ああ、良いところだな」と思った方はまた戻ってきてくれます。そういう人たちをもっと大切に出来るような、そんな街づくりがこれからは必要じゃないのかな、と思います。

2002年9月27日(金)
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