さて、これまでに小豆、砂糖、白豆など餡を中心に特集を組んでまいりました。この餡は日本の生んだ一つの芸術であり、それを中心に発展した和菓子も、すばらしい文化であると思います。ただ日本の外に目を向けたとき、この餡というものがどう受け止められるのかと、ふと疑問になるときがあります。
例えば中南米では、レッド・ビーンズ、ブラック・ビーンズこれらの豆を塩味で煮たものがご飯に添えられて出てきます。彼らにとって煮豆は塩味であり、ご飯と共に食べるのが当たり前のことなんですね。
さらには、豆という食べ物は代用食としての印象が強い、と知り合いのアメリカ人が言っていました。食料がないときに食べていたものだから、それをデザートとして食べるには、ちょっと抵抗があるのでは、と。
もちろん、我々は和菓子はすばらしいものだと思いますし、日本の育んだ食文化、その一部である餡子を誇りに思います。ただ最近、この餡子、これが和菓子というものの可能性であり、そして限界でもあるのかなぁと思うのです。