水ようかん、葛まんじゅうなど、でんぷん質を使って作る和菓子はいろいろとありますが、最も親しまれている和菓子といえば、わらび餅ではないでしょうか。
わらび餅とは、春の山菜でおなじみの蕨の根っ子の部分から、澱粉質を抽出して、その澱粉質をねって作り上げるお菓子です。
澱粉質ですので、料理で使う片栗粉と同じで水にはすぐに溶けるのですが、火が通ってくると段々と粘りを増してきます。わらび粉は大変コシが強いため、木のへらでかき混ぜるのが大変なんです。しかし、かき混ぜないと焦げてしまうため、お餅に透明感とツヤが出るまで、一生懸命木のへらを動かし続けないといけません。この作業なくして美味しいわらび餅は出来上がらないのです。
同じ澱粉質を使って作られるものに葛まんじゅうなどがありますが、こちらは、葛の根から採れる澱粉を元に作られます。
両方とも山の中にある根の部分を使うので、採取するのに大変な労力を必要とします。そのため最近では葛や蕨の根を採取する人も少なくなり、値段が高騰し、今では両方とも高級食材として扱われるようになりました。
葛も蕨も日本中どこにでもあるものなのですが、それを執って粉にしてお菓子の原料にしようという人がいなくなりつつあります。日本の食文化の一つが消えつつあるというのは悲しいことですね。
当店では、この本物のわらび粉を使った「本わらび餅」を発売いたします。
ただし本物であるためにお日持ちがいたしません。買ったその日が賞味期限です。当然、宅配も出来ません。
大変申し訳ございませんが、御理解の程宜しくお願い申し上げます。
- 資料参考文献 -
「百菓事典」 山本候充・編、平成九年東京堂出版発行
「図説・和菓子の今昔」 青木直己・著、平成十二年虎屋文庫発行