第二回 こんなお菓子が食べたい

–この企画は2003年に終了しております–

■ 第2回 「こんなお菓子が食べたい」

■ 第1月目

□皆様が食べてみたいと思うお菓子を作ります
「こんなお菓子食べてみたいのに、どこにも売ってないよなぁ」、そう感じたことはありませんか?例えば、和菓子屋が作るアンパン、栗だけを贅沢に使った栗羊羹、直径一メートルもある巨大どら焼きなどなど。そんな食べたいけど売っていないお菓子を、我々三松堂が作りましょう、というのがこの「こんなお菓子が食べたい」です。
ここで作られたお菓子は、受注生産で販売をいたしますが、1回限りしか販売をいたしません。しかも、インターネットでのみ、注文することが出来ます。基本的に店舗で売ることはありません。ホームページとメールマガジンをご覧の方のみ、参加できるイベントです。

□食べてみたいお菓子があればどんどん応募ください
どんなものでもかまいません。ばかばかしいと思わずに、こんなものあったら食べてみたい、と言うお菓子を下のフォームを使って応募してみてください。

これまでになかったお菓子はもちろんのこと、羊羹やどら焼きなど今までよく食べてきたけれども、最高の材料を使って作った羊羹、どら焼きなどがあれば食べてみたい、と思ったら、すぐ下のフォームから応募ください。お待ちしております。応募されたお菓子が選ばれた方には、そのお菓子の「先行試食権」と「三松堂銘菓詰め合わせ」を差し上げます。

□応募フォーム
応募は終了いたしました。大変ありがとうございました。

■ 第2月目 「選考途中結果発表」

さて、先月から始まった「こんなお菓子が食べたい」ですが、なかなか沢山のご応募がありました。大変ありがとうございます。

「こんなお菓子が食べたい」は、メルマガ読者及びホームページ利用者の方が食べてみたいお菓子を作るというイベントですが、こちらとしてもなかなか作る機会のないお菓子を作ってみたいと思っています。そういう意味では、今回 はなかなか傑作ぞろいではないでしょうか。

それでは、応募された内容を見てみたいと思います。

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□抹茶餡の源氏巻 。

□桜風味のアイスクリーム、苦くない抹茶のシャーベット、つぶのないあずきのシャーベットかアイスクリーム。

□上等の葛(吉野葛?)を使った、口の中でプリンプリンと弾ける・・でも柔らかい、上品な甘さの和菓子。上等の葛ざくらのようなもの。きっちり冷やして食べてみたい。

□餡入りみたらし団子。みたらしの甘辛たれが大好きで、でもあんこも食べたい。みたらし団子はたれがちょっと団子にしみて、団子そのものにも味が移っ ている。その団子生地にあんこがいい。あとはバランス。たれと団子とあんこ の味のバランス、食感のバランス。そういうお菓子が食べてみたい。

□こし餡入り求肥のお饅頭。餡も求肥も最高のものを使った、最高のお饅頭。

□洋菓子によく使う素材を使った和菓子。例えば、ミルク味の皮でイチゴ味の餡を包んだお饅頭。ヨーグルト味の生地にキャラメルクリームをはさんだ、ドラ 焼きなど。

□塩大福。

□抹茶を使ったお菓子。”抹茶のババロアは”絶品だが、持ち帰りが出来ない のが難点。そこで、持ち帰りができ、贈り物に使え、美味しく、見た目も抹茶が伺えるお菓子があればいい。例えば、
・一口”抹茶羊羹”中にアズキが入っている。
・”抹茶外郎”のような柔かくて粘りがあるもの。
・”抹茶水まんじゅう”外が薄い緑で中も濃い緑。 など。

□餡入りシフォンケーキ。ミスマッチのような気がするが、餡の嫌いな人でも抵抗なく食べることが出来ると思う。
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以上が応募されたお菓子です。どれも面白そうなものばかりです。このイベン トの傾向として、今までになかったお菓子を食べてみたいという方と、食べた ことあるんだけれども、もっと美味しいものが食べてみたい、と応募される方がいます。前者が、みたらし団子や、洋菓子の材料を使って作った和菓子や、 シフォンケーキなどでしょう。後者は、塩大福や求肥のお饅頭などが挙げられ ますね。

どれも非常に美味しそうなアイディアです。 この中から1つ、もしくは2つのお菓子を選んで当店で作るわけですが、これらの中から選ぶのは非常に難しい選択でした。いろいろ悩んで話し合いをした結果、2つの候補が挙がりました。

一つは「こし餡のアイスクリーム」、もう一つは「最高の塩大福」です。「こし餡のアイスクリーム」は、お菓子の選考途中、アイスクリームの応募を読んでいた店員がふともらした、当店名物の鯉の里用の餡をアイスクリームにしたら美味しいかな、という一言にその場の皆が「それは食べてみたい!」と 反応しました。応募にも「粒のないあずきのシャーベットかアイスクリーム」とあります。鯉の里用の餡はこし餡なので、もちろん粒はありませんし、味も 良いこし餡です。これでアイスクリームを作れれば、非常に美味しいのではないでしょうか。

「最高の塩大福」は、職人のチャレンジ的な意味で選びました。というのも、塩大福は結構大福の原点的なものがありますが当店では一度も作ったことがな かったんですね。今では甘味をつけた餡の大福がほとんどですが、江戸時代などは塩餡の大福を昼食代わりにしたこともあったそうです。今では、巣鴨がこの塩大福で有名ですね。当店では、これまで塩餡は作ったことがありません。 今まで砂糖しか入れたことのなかった餡に塩味をつけるわけですからどうなる か予測もつきませんが、原点にチャレンジしてみようか、ということになりました。最高の材料で作ってみようというわけです。

以上が今までのところの最有力となります。このまま製作に入ろうかとも思っ たのですが、これはあくまでも、読者の皆様が食べてみたいお菓子を作るイベ ント。上記の二つはあくまでも我々が選んだものでしかないので、最終的に決 定を下す前に、もう一度皆様の意見を聞いてみたいと思います。

「それが非常に食べてみたい!」でも「いんや、オラはこっちのほうがええ」 でも何でも結構です。候補を眺めた上での、皆様の意見を伺ってから、最終的 にお菓子を選考しようと思っています。

どんな意見でも質問でも、応募者のお菓子の説明の補足でも、何でも結構です。是非読者の方々の意見をお聞かせく ださい。メールアドレスは、こちらです。

■ 第3月目 「選考結果発表」

いよいよ選考結果発表です。先月の途中経過を発表してから、何通か皆様から お便りを頂いたのですが、どのお便りも、「最高の塩大福」と「アイスクリー ム」を楽しみにしているようですので、この二つに本格的に決定したいと思い ます。

応募されたお二方には、当方からお菓子の送付先をお伺いするメールが届いて いる頃かと思います。返信があり次第、三松堂菓子詰め合わせをお送りいたし ます。今回は、ご参加いただいて、本当にありがとうございました。また、ご 参加いただいた全員の方、この度は本当にありがとうございました。これに懲 りず、また気楽にご参加ください。

さて、「最高の塩大福」です。これは、大福の中の餡に、塩味がついています。 塩味と言っても、甘い餡にさらに塩味がついているのですが、この甘さと塩辛 さが、絶妙のところでマッチしている塩大福は、非常に美味しいですね。最近 は餡と言えば甘い餡しかありませんので、塩大福を食したことのない人はどう いう味がするのか、ちょっと想像できないかもしれませんね。

いま、職人と話しをしたところなのですが、塩大福に関しては、周りの餅は杵 つきの餅を使い、中の餡には丹波産の大納言を粒餡にして、それを塩餡にしよ う、と言う話をしているところです。ただ、どの時点で塩を入れるのだろうか と言うことを色々考えているようです。粒餡は、豆を炊いて一晩寝かせるので すが、寝かせる前に砂糖を加えて、時間をかけて奄美を浸透させるわけです。 というので、まずは砂糖を入れるときに、塩を入れてみよう、と言うことで話 を進めています。

「アイスクリーム」は調べましたところ、しっかりとしたベースを作ってしま えば、後は最後に風味をつけるだけのようなので、色々と試してみたいと思っ ています。こし餡、粒餡や、栗からよもぎまで、あるものは全て試してみよう と思っています。ただ、一つだけ気になっているのが、「桜風味」でした。

桜風味と言っても、いまいちどのようなものか想像がつかなかったのですが、 読者の方の言葉から、ようやく理解が出来ました。それは「さくら餅のような 味のアイスクリーム」と言うことらしいんですね。当店のさくら餅はもち米に 甘味と色を付け、餡をくるみ、さくらの葉の塩漬けで、さらにその餅をくるん で、出来上がります。言ってしまえば、さくら餅の風味は、あのさくらの葉の 塩漬けの風味なんですよね。ということで、アイスクリームのベースを作った ら、さくらの葉の塩漬けをうまく利用してアイスクリームに混ぜ込んでみよう と思っています。どんなものになるか、全く想像がつきませんが、想像がつか ないだけに楽しみですね。

しかし今回の「こんなお菓子が食べたい」、キーワードは「塩」のようです。

■ 第4月目 「作成期間その1」

先月から製作期間に入ったのですが、11月は一年で一番忙しい観光シーズン と言うこともあり日常の仕事が忙しく、まだ試作段階には入っていません。大 変申し訳ありません。今はまだ、職人とどのような材料を使って作るのか、そ の辺の話し合いしか出来ていない状態です。ということで、今回はどのような 材料を使うのか、そのお話をしたいと思います。

まずは塩大福からですが、中の塩餡は粒餡にしようと思っています。と言うこ とは餡の小豆はやはり丹波で採れる大納言にしようと思います。今まで何度も 言っていますが、丹波大納言は小豆の中でも一番味の良い豆ですので、最高の 物を作ろうと思えばこれしかありません。

恐らく、塩大福は高級な食べ物ではなく、どちらかと言えば庶民的な物だと思 います。庶民的な食べ物は高級な食材を使うよりも、普通の食材を使った方が 良い結果がでることがあります。それはたぶん、そういった食材をより一層美 味しく食べるための知恵なのでしょう。そうすると、丹波産よりは北海道産の 小豆の方がいい結果がでるのかもしれません。

しかし、今回はとりあえず風味豊かな、丹波産の大納言を使います。前回の練 羊羹の時もそうでしたが、常識にあえて挑戦するのは、結果はさておき、今後 の菓子作りに役に立つ部分が色々あります。まあ、第一回目の試作なのでこれ がだめなら次回、小豆を変えればいいだけのことです。

ということで、塩大福の餡には丹波産大納言、砂糖(ザラメ)、水飴、そして 塩を使います。最後の塩は知り合いに塩を作っている方がいますのでその方の 塩と、最近話題の海洋深層水から取った塩を使ってみたいと思います。両方と もミネラルなどを豊富に含んでいますので、体にいいことは間違いなしです。 後は味でしょう。

塩大福に使う餅ですが、先日も言ったように杵つきの餅を使うことになると思 います。普段当店で作っている大福は、基本的に求肥を使います。求肥に杵つ きの餅を加えてなめらかな舌触りに粘りを加えるわけですが、今回の塩大福に は恐らくこの餅は合わないでしょう。塩餡には少し上品すぎると思われます。 と言うことで、杵つきの餅を使います。

ここで実は、一つ心配があります。というのも、杵突きのお餅は多分翌日には 堅くなってしまうんですよね。インターネットでの販売は、基本的に宅配を使 って全国に配送されます。前回の時もそうでした。と言うことは、最低翌日ま では柔らかくないといけないんですね。実は今、ここの部分で頭を悩ませてい ます。来月、第一回目の試作を作るまでには、解決したいと思いますので、来 月のこのコーナーで、どうするのか結果を発表したいと思います。

さて次にアイスクリームですが、なにぶん今までに作ったことのない物ですの で、今になって作り方を研究しているところなのですが、基本的にそんなに作 り方は難しくないですね。原材料も簡単に手に入る物ばかりですし。

簡単に言 うと、牛乳、砂糖、卵黄、生クリームを混ぜ、かき回しながら凍らせれば良い のです。かき回しながら凍らせることによってアイスクリームの中に空気が入 りカチコチに凍らずにあの滑らかな舌触りと食感ができあがるというわけです。

まあ言うのは非常にたやすいのですが、じゃあどうやってかき回しながら凍ら せるのか、と言うことになります。まさか、でっかい冷凍庫に入ってアイスク リームの原液をかき回すと言うわけにも行きませんからね。こればかりは機械 を導入しなくてはならないかな、と思っているのですが、機械は調べてみれば そんなに高い物ではないので、まあ家庭で使われるような物を一台購入するこ とを検討中です。

アイスクリームの原材料で一番重要な役割を果たすのが牛乳と生クリームでし ょう。おそらく、こればかりはいい物を使わないと美味しいものが出来ないと 思われます。と言うことで、この二つは隣町にある農場から直接買ってこよう と思っています。ここの農場は低温殺菌で牛乳を作っていますので、味はいい のではないかと思います。

アイスクリームの重要なポイントになるのは、どんな物をアイスクリームに混 ぜるか、と言うことになると思います。混ぜる物の風味を殺さずに、美味しい アイスクリームを作り上げるにはどうすればいいのか。来月は、この辺を中心 にレポートしてみたいと思います。

■ 第5月目 「作成期間その2」

配信が1日遅れました。大変申し訳ございません。遅れた理由は、実は今まで 試作を繰り返していたからなんです。一応、塩大福、アイスクリームとも第一 回目の試作を終えました。塩大福のほうは、何とか先が見えそうなのですが、 アイスクリームのほうは、まだまだやることが山積みです。兎も角、説明に入 りましょう。

まずは塩大福です。先月、周りの餅を杵つきの餅100パーセントにしたい、 ということを申し上げましたが、やはり、餅100パーセントだとどうしても 翌日には硬くなってしまいます。それを回避するには、やはり求肥を混ぜるし かないだろう、と言う結論に達しつつあります。おそらく、硬くなるのを防止 する添加物などを入れれば大丈夫なのでしょうが、そうするよりは、少し口当 たりが上品になるが、求肥を使っていきましょう、と言うことになりました。

今回は、こし餡、粒餡、両方で塩餡を作り、それを餅入りの求肥で包みました。 包んでみて分かったことが一つあります。餅入りの求肥は、普通の餅よりも柔 らかく、柔らかすぎて当店のこし餡とは、少し相性が悪いようなのです。食べ たときの食感が余りよくありませんね。

しかし、粒餡との相性は非常に良かっ たです。 求肥と粒餡は口に入れたときに、求肥の柔らかさと餡の粒が口の中で程よく混 ざり合い、非常に美味しいく仕上がりました。ただ、今回は塩の量が少し多く、 豆の味を殺しているところがありました。と言うことで、次回は塩の量を少し 落として作ることになっています。

あと職人の言うことには、塩を混ぜたことにより、今までの糖度では少し甘味 が足りなくなったのではないか、と言うことでした。これまでの粒餡は、塩を 入れることを全く考慮していませんでしたので、なるべく糖度を落とし、甘味 を控えていました。

今回、同じ糖度で塩餡を作ったのですが、その糖度では、どうも塩とのバラン スがよくないのです。塩餡にするからには、塩が感じられるくらいの量を餡に 入れなければならないのですが、その量の塩を入れると、今度は甘味が少し弱 くなり、甘味と塩味の最終的なバランスが余りよくないようなのです。そうい うこともあり、次回は糖度も少し上げてみよう、と言うことになりました。

これはいつも思うのですが、何を作るにしろ、このバランスがとても大事です ね。

アイスクリームのほうは、今まで作ったことのない物ですので、とりあえず作 ってみよう、と言うことになりマニュアルどうりに作り上げました。バニラが 手元になかったので、とりあえず抹茶をふんだんに混ぜ込み、抹茶アイスを作 ってみました。これが非常に美味しく、試食なのにあっという間になくなりま した。まあ、これは最上級の抹茶を使っているから風味良くて当然なのですが。

抹茶アイスは今回の目的ではないので、早速こし餡を持ってきてアイスクリー ムに混ぜました。こし餡は2種類、源氏巻用の餡と鯉の里用の餡です。両方と も餡50パーセント・アイスクリーム50パーセントで混ぜ合わせてみました。

作ってみて試食をしてみたのですが、試食をして分かったことは糖度が高すぎ る、と言うことでした。それもそのはず、アイスクリームはもうそのままでも 食べられる甘さに加減してあり、餡は餡で皮にまいたり、羊羹状にしたりして 食べるよう甘さが加減してあるのです。その二つを混ぜ合わせたら、どうして も甘すぎると言うことになってしまいます。次回は、アイスクリームの糖度を 半分以下にして試してみよう、と言うことになりました。

あと、もう一つ気づいたことは、アイスクリームの色ですね。餡とアイスクリ ームを混ぜると、どうしても薄い餡の色になってしまいます。これは正直あま り見た目がよくないなぁ、と感じました。それから風味もなんですが、やはり アイスはアイス、餡は餡で食べたほうが、どうしても、両方の風味がいいんで すよね。

ということで、次回アイスクリームを作るときは、あまり餡とアイスクリーム を混ぜ合わせず、マーブル状になるくらいの混ざり具合が良いのではないかな、 と思っています。ただ、餡は凍らせるとカチカチになって食感がよくないので、 どうするかな、と考えています。

最後に、桜風味のアイスクリームですが、この度はさくらの葉の塩漬けが間に 合わなかったので、次回試してみようと思っています。

■ 第6月目 「作成期間その3」

さて、作成期間ももう大詰めを迎えてなくてはならないのですが、色々たて込 んでいまして、なかなか先には進めません。申し訳ありません。

とりあえず、あれから塩大福の試作は、2回ほどしました。塩加減のほうは何 とか決まりました。全体的には、色々試したのですが、結論としてやはり塩大 福は、飾られてないほうがいいのではないか、と言うことになりそうです。

上品な味付けにするよりも塩の加減も少しからいかな、と思うくらいにする。 そして回りに使うお餅も、上品な求肥ではなく、杵でついたもち米100パー セントの餅を使ったほうが、塩大福にはあっているような気がするのです。

まあ、餅では少し物足りない、求肥のほうがいい、と言う人もいるので、結局 は好みの問題と言えるのかもしれませんが、餅のほうがどうもしっくりくる様 な気がするのです。餡にすでに甘味と塩味がついているので、周りの餅には、 余計な塩味、甘味がついていないほうが、いいのかもしれません。

しかし、もし、杵つきの餅を使ったら、問題になってくるのが、販売の方法ですね。最初にお伝えしましたが、求肥を使おうと思った理由は、宅配で送るこ とを念頭においていたからです。杵つきの餅を使えば、正直、数時間後には硬 くなってしまいます。宅配は当然無理ですし、作り立てを買いにこれる人のみ が、味わうことの出来るお菓子になってしまいます。

インターネットでのみ販売すると言っておきながら、宅配できないのはどうも やはり問題があるような気がします。ただ、味を求めるとどうしても餅を使っ て作りたいなぁ、と思うんです。

この問題は、もう少し解決に時間が掛かりそうです。来月には何とか解決して 試食を送ることが出来るよう頑張りたいと思います。

アイスクリームのほうは、正直な所、まだ先に進んでいません。これももう少 し時間が掛かりそうです。3月の販売に間に合うことの出来るよう、頑張りた いと思います。 ご迷惑をお掛けしますが、もうしばらくお待ちください。

■ 第7月目 「制作期間その4」

さて、制作期間が大幅にずれ込んでいるこの企画ですが、ようやくお菓子が出 来上がりました。まだ、試食用の発送はしていないのですが、来週中には試食 を発案者の手元にお届けすることが出来るのではないかと思います。 本当にお待たせしました。

それでは、説明に入ります。まずは、アイスクリームですね。こちらはこし餡 のアイスクリームと桜のアイスクリームが食べてみたい、と言うことで、両方 色々試しました。

桜のアイスクリームは、さくら餅の風味のアイスクリームということでした。 以前も説明しましたが、さくら餅は餅自体に特別な味や風味は付けていないん です。さくら餅の風味と言うのは全て、お餅を巻いてある、さくらの葉の塩漬 けの風味なんですね。 と言うことは、桜風味のアイスということは、この葉っぱをどうにかアイスク リームに加工しなければならないと言うことになります。

葉をペースト状にす るか、エキスを絞るか、それとも細かく砕いて、アイスクリームに混ぜ合わせ るか。選択肢としてはこの3つ位しか思い浮かびませんでしたね。 ペーストとエキスなのですが、お菓子を作る上で、最初から混ぜ合わせてしま うと、どうしても風味が飛んでしまうと言うことがよくあります。

例えば、今 旬のいちごの大福ですが、あれは口の中でいちごと餡が混ざり合うから美味し いのであって、最初からいちご餡にしてあると両方の良いところが消えてしま うでしょう。ペーストとエキスを使うと、これと同じ現象が起きるのではない か。最初にそう考えました。 すると、残されたのは葉をミキサーで細かく砕き、アイスクリームに混ぜ合わ せる事しかありませんでした。

最初は、葉をアイスに混ぜても食感が悪くなら ないだろうか、と言うことを心配していました。そういうわけで、細かくする ときに、葉の真ん中を通る大きな筋は切り取ってから、柔らかい部分だけを使 いました。

牛乳、生クリーム、卵と砂糖だけでアイスクリームのベースを作り、アイスク リーマーで凍らせる直前に、この桜の葉を混ぜ合わせ、アイスクリーマーに投 入。待つこと約20分で、アイスクリームは出来上がります。

混ぜ合わせたのは桜の葉の塩漬けです。それだけ食べると、塩味が結構きつい ものなので、どんな物が出来上がるか、正直予想がつきませんでした。すごく まずいものが出来上がるかもしれない。そういう心配もありました。出来上が るまでの20分、非常に長く感じられたのを今も覚えていますね。

どきどきしながら食べた試作第1号は、予想を良い意味で裏切り、非常に風変 わりな、しかし、さくら餅の風味が好きな人には非常に魅力的なアイスクリー ムに仕上がっていました。

この桜のアイスクリーム、見た目は細かいチョコチップの入ったアイスクリー ムのようです。一口食べると、乳製品らしいアイスクリームの味と甘さの中か ら、ゆっくりと桜の風味が、口の中一杯に広がります。アイスクリームの部分 が融け去って、最後に残るのは桜の葉です。当然、最後に残る風味は桜で、ち ょっとだけ塩味を残してのどの奥に消えていきます。

まあ、桜の風味は独特のものがありますので、万人向けではないかもしれませんね。現に日本人以外の人は、あのさくら餅の風味があまり好きではないよう です。そういうことで、全ての人に薦められるものではないかもしれませんが、 さくら餅好きの人には、是非試してもらいたいアイスクリームです。

こし餡のアイスクリームですが、色々試したあとにでた結果、「餡は餡のままで食べるのが一番美味しい」と言う事になりました。乳製品などを混ぜ合わせ るとどうしても味の輪郭がぼやけてしまい、美味しくなくなるんですよね。

ということで、餡を餡のまま、どうにか凍らせてもガチガチに硬くならない方 法はないかと、色々と試してみたのですが、寒天や紅天、水飴などを混ぜ合わ せても凍らせるとガチガチになってしまいます。そうなると、風味はあまり感 じられないし、良い小豆を使って作ったこし餡でも、50円くらいで買えるア ズキアイスと同じような味しかしないんです。

ということで、こし餡はやはり、こし餡のままで食べるのが一番美味しい、と 言う結論になったのです。ただ、こし餡を冷蔵庫でよく冷やし、それを桜のア イスクリームに添えて食べると、桜のアイスクリームがより美味しくなること が分かりました。と言うことで、こし餡のアイスクリームはやめて、桜のアイ スクリームにこし餡を添えて、アイスクリームは完成ということにしたいと思います。

ただですね、非常に申し上げにくいことなのですが、この桜のアイスクリーム、 どうやっても販売が出来ないんです。今回購入したデロンギ社のアイスクリー マーは、ポットの部分をあらかじめ凍らせて、それにモーターを取り付けて中 をかき混ぜるタイプのものです。アイスクリーマー自体に冷却機能はついてい ないんですね。で、このポットを凍らせるのが18時間くらいかかるんです。 と言うことは、まあせいぜい10人前を作るのに、約一日ほど時間が掛かるん です。

これでは、ちょっと生産能力が販売についていかないんです。 冷却機能が付いているアイスクリーマーはもうそれこそ業務用しかないようで、 軽く10万円は超えてしまうんです。当店としては、アイスクリームをこれか ら販売することはありませんのでこれだけの投資をすることが出来ないんです。

ということで、桜のアイスクリームの販売は出来ませんが来月、桜のアイスク リームのレシピを公開しますので、それでご容赦ください。作り方は難しくあ りません。家庭でも十分作ることが出来ると思います。是非お試しください。

塩大福は、先月ほとんど完成していましたが、最後に周りを餅にするか求肥に するか、悩んでいるとお伝えしました。しかし、これ周りを餅にすると、こち らも宅配が出来なくなり、津和野近辺の人にしか味わってもらうしかなくなる んですよね。

アイスクリームが販売できないのに、塩大福も遠方の方にはお届 けできないとなると、非常に申し訳ないので、こちらは、求肥を使うことにし ました。 ただ、ちょっと上品な塩大福になりますので、皆さんが考えている物とはちょ っと違う塩大福になっているかもしれません。

まあ、これも美味しいものには 仕上がっていますので、興味のある方は是非お試しください。 来週中には、塩大福、桜のアイスクリーム共に発案者の方の手元にお届けでき ると思います。そして、来月塩大福のほうを販売いたしますので、お楽しみに お待ちください

■ 第8月目 「販売受付・発送」

さて、ようやくここまでたどり着けました。一時は忙しくてどうなることかと 思っていましたが、何とかなりましたね。

「桜のアイスクリーム」と「塩大福」何とか両方作ることが出来たのですが、 先月お知らせしたとおり、アイスクリームのほうは今回は販売することが出来ません。大変申し訳ありません。その代わり、レシピをこの度公開しようと思います。塩大福のほうは、受付の告知が最後にありますので、そちらをご参照 ください。

あと、アイスクリームの作り方なのですが、全くの我流ですので、もっと良い 作り方・美味しい作り方をご存知の方は、ご一報ください。

「さくらのアイスクリーム・6人前」

材料 :
牛乳300ml、生クリーム100ml、卵黄4個分、
グラニュー糖70g、さくらの葉の塩漬け・6枚

作り方:

1. 卵黄とグラニュー糖をボールに入れ泡だて器で混ぜ合わせます。 黄色い卵黄が白っぽくなれば、大丈夫です。

2. 牛乳と1を混ぜ合わせ、軽く火にかけます。グラニュー糖が解けるく らいで大丈夫です。あまり暖めると卵黄が固まりますので、注意して ください。

3. 氷水に2を当てて、冷やします。(冷やしておいたほうがアイスクリーマーに入れた時に早く凍ります)

4. 桜の葉は、真ん中の大きな筋を取り除きフードプロセッサーで細かく砕きます。

5. アイスクリーマーに入れる直前に、3に4のさくらの葉と生クリームを混ぜ合わせます。よくかき混ぜてから、アイスクリーマーに投入してください

6. 20分ほどで出来上がります。

作り方は、以上です。これで簡単に、さくらのアイスクリームが出来上がりま す。ただ、この作り方は、大まかなものですので、自由に改良してください。

あと、牛乳と生クリームの割合は、今回は3:1にしてありますが、あっさり したほうが良い場合は生クリームを減らして牛乳を増やし、こってりしたほう が良い場合は、牛乳を減らし生クリームを増やしてみてください。 砂糖やさくらの葉も同じで、甘さの調節も砂糖の量で、さくらの風味も葉の枚数で調節してみてください。

アイスクリーマーに関しては、この度はイタリアはデロンギ社の物を使いまし た。低価格のものでは、どうも冷却機能が付いているものはなく、ポットの部分をあらかじめ凍らせて、その中でアイスクリームを作るものばかりですね。 ちなみに今回使ったのは、「デロンギ IC5000S」というタイプのものです。

また、アイスクリーマーをお持ちでない方は、この本を参照されると良いかも しれません。フードプロセッサーを使って作るデザートの本ですが、アイスク リームの作り方も載っています。これなら、アイスクリーマーがなくても、ア イスクリームを作ることが出来ます。

タイトル :「フードプロセッサーでパン&デザート革命」
著者   :加藤千恵
http://www.amazon.co.jp で、検索すれば見つかるはずですので、興味のある 方は、一度お調べください。

–この企画は2003年に終了しております–

2003年3月1日(土)
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