夏になると普段とは違い、涼しげなお菓子が店頭に並びます。葛まんじゅう、水まんじゅう、錦玉羹などなど。これらの水菓子を見ると、夏が来たなぁ、と思われる方も多いのではないでしょうか。
暑くなるとやはり、今挙げたような水菓子のほうがお客様に好まれます。本練羊羹などはどうしても熱いお茶と一緒に食べる機会が多くなりますので、夏はさらりとするりと食べられる水ようかんなどに人気が集まるのでしょう。
夏の代表菓である水ようかんが店頭に並びはじめると、どうしても影が薄くなるのが先ほども申し上げた本練羊羹の存在です。夏には本練羊羹に手が伸びなくなる人が多いようですね。
しかしこの本練羊羹と水ようかん、そして鯉の里、これらは実は、同じ餡をもとに作られるお菓子なんです。同じ餡を使っても加工によってこれだけ食感の違うお菓子になるんですね。
さて餡です。餡を作るのに必要な材料は小豆と砂糖。小豆は備中産の赤小豆を使います。この小豆は呉のきめが細かく、こし餡にするとさらっとした舌触りの、上品な餡に仕上がります。
砂糖はざらめを使います。この砂糖は上白糖などと比べると精製の度数が高く、純度の高い砂糖です。当店では、さらっとした甘さを表現したいときには、このざらめを使います。純度の高い砂糖は、後味にべたついた甘さが残らず、すっと甘さがのどの奥に消えていきます。
備中の赤小豆とざらめを使った餡の味は皆様も鯉の里や当店の本練羊羹などでご存知の通り上品でべとつかず、食べた後もさわやかで、口のに何も残りません。
この餡を使って水ようかんも作られます。このお菓子は多くの水分を含むため非常にあっさりとしており、食された後もすっきりと爽やかです。当店の羊羹鯉の里がお好きな方ならこの水ようかん、楽しんで頂けるのではないでしょうか。つめたく冷やしてからお召し上がりください。