いちごに関する不思議な思い出

最近、いちごいちごしています。

いちごの心配ばかりです。だからというわけでもないのですが、以前あったいちごにまつわる不思議な事を、ふと思い出しました。

それは、平成16年の1月の話です。

当店では、二ヶ月に一回、当店の事や、和菓子にまつわる内容のお便り(ニュースレター)を作って印刷し、それをお客様に郵送したりお配りしているのですが、ちょうどその月、この記事(いちごの季節)の掲載されたニュースレターを発行しました。

阿東町の地福まで、取材というかお話を聞きに行き、写真も撮らせてもらいまして。ハウスの中は、冬なのに結構暖かかった事を今でも良く覚えています。

印刷所から刷りたてのモノが届けられ、封筒に入れてあとは、ラベルを印刷して、発送するだけの段階になりました

ラベルの印刷は、結構時間がかかるので、大抵店の仕事が終わった夜、事務所に一人残って、印刷していることが多かったですね。

一月の夜です。火の落ちた工場の二階にある事務所は、夜になるにつれ段々と空気が冷たくなるのが分かります。

とっとと終わらせて飯を食おう。

そう思い、パソコンから住所録を立ち上げ印刷をクリックするのですが、何故か印刷が始まらない。パソコンもプリンターも電源は入っているのに、印刷ボタンを押しても、プリンターがウンともスンとも言わないのです

おかしいと思い、別のソフトを立ち上げて印刷を押してみる。すると、何の問題もなく、印刷が始まります。再度住所録を立ち上げ、印刷をクリックしました。

ピーッ

プリンターから警告音が事務所に響きました。

今度は何だ、と思ってプリンタを見ると、紙詰まりでした。寒いし腹減ったし、その上仕事は進まない。プリンタの内部に詰まった紙を引っこ抜き掃除をしながら、自分が段々とイライラしてくるのが分かります。

何とか紙を取り除き、「今度なんかあったら殺す!」と、プリンターに毒づきながら、再度印刷ボタンをクリックしましたが、何故かまた紙詰まり。

一度プリンターをどついてから、内部を掃除。そして、印刷ボタンをクリック。そんなことを2,3度繰り返しましたが、とうとう、その辺りで印刷を諦めました。パソコン、プリンターの電源を落とし、自宅に帰りました。

それからもしばらくは、プリンターの調子がおかしい日が続きました。

他のものはちゃんと印刷できるけど、ラベルが印刷できなかったのです。なのでとうとう、ニュースレターの発送作業自体を諦めざるを得ませんでした。

そんなことがあってから2,3日後、知り合いと話をしている最中に、ふと話題がそのニュースレターの話になり、自分がそれを見せながら、事の顛末を説明すると、その人は内容を読み終わって一言、こう言いました

「これ、多分発送しないで正解でしたよ。鳥インフルエンザの報道があったから、阿東町は今や全国に知られる存在じゃないですか。鳥といちごって全く関係ないといっても、お客様がどう反応するかは、分かりませんからね」

平成十六年の一月は日本で初めて、鳥インフルエンザが阿東町で発生した月でした。毎日のようにテレビでの報道が続き、しばらくは阿東町という名前をテレビで見ない日はないほどでした。

その月はニュースレターを郵送できなかったため、宅配での売上はかなり落ち込みました。ただ、あの時、あのニュースレターを発送していたら、どうなっていたのかな、と思うことがたまにあります

そして、例のプリンターなんですが、その後一年くらいは事務所の中で、何の故障もなく動いていました。

もう、5年も前の話ですね
———

2008年1月25日(金)
前の記事へ
次の記事へ

店舗のご案内


和菓子処 三松堂 津和野本店
〒699-5604
島根県鹿足郡津和野町森村ハ19-5
℡0856-72-0174


三松堂 菓心庵 本町店
〒699-5605
島根県鹿足郡津和野町本町一丁目
℡0856-72-3225


三松堂 益田店
〒698-0003
島根県益田市乙吉町イ336-7 大石ビル一階
℡0856-23-6974