店員が産休に入ったり、風邪で休んだりすると、自分も店頭で販売をする必要に駆られます。まあ、零細企業はどこもこんなものだと思います
店頭で販売をしていると、学生時代の先生が買い物に来られることが良くあります。すぐに分かる先生、全く気づかない先生。わざと声をかけなかったりすることもありますが、それはまあ、ここだけの話です
先日は、中学校時代の英語の先生の奥様が、ご来店になりました。常々、この英語の先生には一言伝えておきたいことがあったので、御本人ではなかったのですが、少しお話をしました
その先生は、中学の英語の先生で、当時体も大きく、声も大きく。すぐ怒り、叩かれたり、立たされたりしました
今思えば、その英語の時間は本当に恐怖の時間でしたね
クラス中が順番に当てられるのですが、皆が答えられないと、最終的には学級委員が当てられました。当時、自分は運悪く学級委員をやっていました。なので、一クラスの間に何度も、何度も当てられました
今に至るまで正直余り勉強に励んだことはないのですが、この時だけは勉強しました。一生懸命、教科書の角からスミまで、くまなく勉強しつくしました
それが、1年間だったのか、2年間だったのか。よく覚えていません。が、その間死ぬほど勉強したことだけは良く覚えています。多分、今思い返せば、それは本当に恐怖の時間だったんだと思います
そして、中学を卒業。それ以降高校などでは全く勉強をしませんでした。成績は案の定、下の下
ただ、勉強しないにも関わらず、英語だけは不思議と上の下くらいの位置に常にいました。他に何の取り柄もないボンクラだった自分がその後、なんとなく英語を勉強してみようかと思ったのは、今考えればこう言うことの結果だったんだと思います
そして今
本当に長い間フラフラしましたが、ここでこうして仕事をしています。
自分がその後成長したのかどうかは正直良く分かりません。ただ、一つだけ言えることは、あの時にあの先生が厳しくなかったら、おそらく自分はここにはいなかっただろうなと思うのです。いや、いたかも知れませんが、確実にもっと使い物にならない人間だったに違いありません。
英語を勉強するという選択をしたお陰で、自分は本当にいろいろな体験をすることが出来ました。(ここ、英語を習得したと言わないところがポイントなのですが、)その体験が今の自分の血肉になって、本当に仕事の役に立っています
当時、理不尽な怒られ方をしたこともあります。嫌な思いをしたこともありますが、振り返ってみれば、それは本当に些細なこと。それよりも、こうして色々な体験をするきっかけを下さった事が、本当にありがたいな、と思うのです
さて、話は最初に戻りますが、自分が奥様を介してその先生に伝えたかったこと。それは、その後アメリカ人に英作文を習っていた時の出来事です
英作文を書いていたといえど、あまり勉強をしていなかった自分は、辞書から拾い上げた単語と中学時代に叩き込まれた基礎だけを頼りに作文を書いていました。なので今考えればそれはとても珍妙な文章だったのでしょう
不思議そうな顔をして、作文を一通り読んだあと、そのアメリカ人は、私にこういったのです
「あなたの英文法のセンスは素晴らしい」
まあ、ろくに英語もしゃべれない日本人が、辞書から拾い上げた単語を基礎文法だけで繋ぎ合わせて文章を作っていたことに対する、単純な驚きだったのだと思います。ただ、英語を母国語とする人にそう褒められたことは素直に嬉しかったですね。
中学時代の英語の先生には、その事だけ、伝えておきたかったのです
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