上生菓子・その三

今回紹介する三種類はどれも、餡をもとに作られる生菓子です。

最初は「浮島」です。

これは、餡に小麦粉、米粉、鶏卵を混ぜ、よく泡立ててから蒸し上げます。良く泡立てることにより、生地自体が空気を含み、蒸したときに軽い感じの餡生地が出来上がるというわけです。

全卵を混ぜるわけですから、どうしても生地が柔らかくなります。そのまま細工はしづらいので型に流し蒸し上ます。

この「浮島」は材料からいって、洋菓子のスポンジケーキに似ていますね。作り方が、蒸すか焼くかという違いはありますが、食感も味も良くにています。ただ。「浮島」には餡が入っていますので、どうしてもスポンジケーキほどは軽くはなりません。あと、蒸し上げるので生地が厚いと火が通らなくなるため、必然的に生地自体がスポンジよりも薄くなっています。

写真の「浮島」は羊羹と合わせてありますが、他には色の違う二色の「浮島」をあわせたりもします。

次は、「黄味しぐれ」です。

 

ちょっと写真では見えないかもしれませんがこのお菓子、まわりの生地にひびが入って、中から違う色の餡が顔を出しています。このがわと中の餡の色のコントラストが「黄味しぐれ」の一番の特徴でしょう。

このお菓子、中に餡が入っていますが、まわりの生地も餡をもとに作られます。作り方は餡に、米粉と卵黄を混ぜ、餡を包んで蒸しあげます。この最後に蒸し上げたとき、亀裂が出来るというわけです。

この「黄味しぐれ」、材料と作り方が「浮島」に似ていますが、卵白が入っていないぶん、「浮島」よりも細工がしやすく、そのため餡を包むということが出来るわけです。食感も、浮島に比べれば、若干硬めになっています。

最後は「村雨」です。

この「村雨」と今紹介しました二種類のお菓子の違いは卵です。「浮島」、「黄味しぐれ」を作るときには卵を使いますが、「村雨」には卵は入れません。材料は餡、米粉、餅粉のみになります。これらを混ぜ、必要に応じて天然色素で着色し、蒸します。

ただ、村雨の場合、このまま蒸したのでは少し重たいため、蒸す前に通しで裏ごしをします。ここで「村雨」がきんとんの様なそぼろ状になるわけですが、そのそぼろ状の「村雨」を型に入れ少し押さえてから、蒸し上げます。そのため、見た目は小さな餡の粒が集まり固まったような形をしています。

白餡で作る場合は、もちろん色付けも出来ます。写真にありますように三色に色付けしたものを裏ごしし、混ぜ合わせてから蒸し上げるときれいな三色の「村雨」が出来上がります。

写真の「村雨」は羊羹と会わせてありますが、他にも、薄く蒸し上げた村雨に薄く作った羊羹を重ね巻くこともありますし、中に餡をいれて仕上げることもあります。

食感はといいますと、卵を入れない分、「浮島」、「黄味しぐれ」よりは若干硬めですが、裏ごしがしてあるために羊羹のようにべっとりはせず、口の中で餡の粒がころころと転がります。

2001年11月1日(木)
前の記事へ
次の記事へ

店舗のご案内


和菓子処 三松堂 津和野本店
〒699-5604
島根県鹿足郡津和野町森村ハ19-5
℡0856-72-0174


三松堂 菓心庵 本町店
〒699-5605
島根県鹿足郡津和野町本町一丁目
℡0856-72-3225


三松堂 益田店
〒698-0003
島根県益田市乙吉町イ336-7 大石ビル一階
℡0856-23-6974